当院における新型コロナウイルス感染症への対策につきまして

血圧を測るタイミングはいつが良いの?夜だけ高い、病院だけで高い、私は大丈夫?

しぎょう院長

こんにちは、循環器専門医の執行です。

今回は血圧を測るタイミングと血圧がどのタイミングで高いのが問題なのかを説明したいと思います。

診察室での血圧よりも家での血圧が大切

昔は診察室で血圧を測定することが多くそこでの血圧を指針として血圧の治療が行われていました。今も自宅で血圧計がない方などのために測定することはありますがあまり信頼性は高くありません

なぜなら普段はそこまで高くないのに医師の前だと「高いとどうしよう…」と不安になり血圧が上昇してしまうこと結構ありますよね?この状態を白衣高血圧といいます。

病院での血圧を指針に治療をしてしまうと普段の血圧が下がりすぎてしまい余計な副作用のリスクがあります。そもそも血圧の薬が必要でない方もいらっしゃいます。

一方で診察室での血圧は正常なのに実は家庭での血圧が高い方のことを仮面高血圧といいます。診察室で緊張される方は信じられないかもしれませんが、10.4%いることがわかっています。仮面高血圧の理由は診察室で安心できる、仕事のストレスが一時的に忘れられること、また喫煙者が院内で禁煙となるためしばらく喫煙をしないことなどが原因ではないかと言われていますが定かではありません。

いずれにせよこういった事があるので病院での血圧よりも自宅での血圧が大切である事はお分かりいただけると思います。

では血圧を測定するのはいつが良いのか?

血圧を測定するのは朝起床後と就寝前がベスト

血圧の測定は日本高血圧学会のガイドラインでは起床後1時間以内に排尿を済ませて食前に測定を座ってから1~2分後に2回測定して平均値をとるようにと推奨されています。もう一回は夜就寝前に座ってから1~2分後に2回です。

しかし実際は2回測定するのは面倒なことが多く当院では一回測定を記録してもらうようにしています。

早朝高血圧は脳梗塞、心筋梗塞の大きなリスク、絶対に起床時の血圧は測ろう

そもそも高血圧自体は無症状で困っていないのにもこれだけ測定のタイミングや治療について細かく言われるのは高血圧をほっておくと「脳梗塞」や「心筋梗塞」などの合併症が起こってしまう可能性が大幅に上がることが分かっているからです。

なぜこの2回のタイミングかというと、その2つの病気を予測するのに「早朝高血圧」と「夜間高血圧」が適しているからです。

人間の血圧は下の図のように時間帯によって変動しています。日中活動している時間帯に高く、夜間就寝中に低くなります。また起床する際にスムーズに活動にうつれるように血圧が上がっていきます。

https://www.shimizuhospital.com/organ/1470/

朝の起床時の血圧が上がりすぎている方を「早朝高血圧」といい、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などすべての臓器にとって悪影響があることがわかっています。

夜間高血圧もリスク評価に適している。出来るなら就寝前の血圧も測ろう

また「夜間高血圧」ですが、本来は24時間血圧測定を行い夜間の平均値が120/70mmHgを上回る場合と定義されており、それを超えると脳心血管病のリスクが高く認知症などのリスクも高いことがわかっています。

しかし24時間測定を日々行うわけにもいかないので就寝前の血圧で代用しています。起床時と就寝時どちらかしか測れないと言われると起床時をお願いしていますがどちらも大切なタイミングです。

読まれていると「めんどくせーな」「自分は無理かも」と思われる方もいると思います。

そもそも高血圧治療は長期の患者さん本人と医師との伴走です。医学的に正しいからと患者さんの日常に即していない指示ばかりしても絵に描いた餅です。

ですので出来る範囲で測定をしてもらうことが一番大切です。

就寝前の血圧が高いのだけれど大丈夫なのか?

夜間の血圧は日中より10~20%低いことが通常と言われています。

ちゃんと夜間の血圧が10%以上低下している方をDipper(ディッパー:朝より夜の方が血圧が落ちている)といいます。

一方でこんなに落ちていない方をNon-dipper(ノンディッパー)、上昇する方をRiser(ライザー)と言います。

ともに脳心血管障害や認知症のリスクであることがわかっていてもしそうであれば適切な治療が必要です。

睡眠時無呼吸症候群が原因のことがあり見逃していると大変な事に。いびきをしているなら検査をしよう。

原因の一つに睡眠時無呼吸症候群の存在が言われています。もしいびきがあると言われた方は睡眠時無呼吸の治療を行うことで血圧の管理がぐっと良くなるかもしれませんので一度調べてみることをお勧めします。

まとめ

血圧の測定は診察室のものはあまり信用できないのでしっかりと家で測定をしよう。

測定をするタイミングは朝起床時と夜就寝前が理想的。しかしそのタイミングで測れない場合は一回でもよいので測定を続けるようにしよう。

早朝高血圧も夜間高血圧も脳梗塞、心筋梗塞、認知症などのリスク、見つけた場合は専門医に相談をしよう。

夜間高血圧の原因に睡眠時無呼吸症候群が関わっていることが多い。いびきがある、日中眠気がある場合は一度簡易な検査を受けよう。

以上

参考文献

  • O’Brien E et al;Lancet 1988 Aug 13;2(8607):397.
  • Kario K et al;Hypertension 38:852-857, 2001
  • Nagai M et al; J Hypertens 26: 1636-1641, 2008
  • Ordu S et al; Blood Press 19: 26-30, 2010
  • Yano Y et al; Am J Hypertens 24: 285-291, 2011
  • 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019 

この記事を書いた医師

しぎょう院長

Dr. 執行 秀彌(しぎょうひでや)

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

日本循環器学会認定循環器専門医
大阪市立大学医学部を卒業後
国立循環器病研究センター病院や住友病院等を経て2020年4月に開業
最寄駅:JR立花(徒歩20分)および尼崎センタープール前(徒歩10分)