こんにちは、循環器専門医の執行です。
高血圧、ずっと同じ薬を飲んでいませんか?
長い間続けている薬で実はこんな副作用があることをしっていますか?
今回のテーマは高血圧の薬の副作用です。
もしあなたが飲んでいる薬で知らない間に副作用が出ていたとしたら長い期間身体を蝕んでいたことになります。
それがないことを定期的に診てもらってますか?
- 血圧の薬を血圧の数値だけで出されている
- いってもほとんど診察がなく薬だけもらう
- ここ10年薬が変わっていない
- 副作用について説明されたことがない
どれかひとつでも当てはまるなら
このテーマはあなたにとってとても重要です。
あなたが薬の副作用で苦しまないためにも是非およみください。
医師が気付いてくれないなら自分で気付くしかない現状
数値に対して薬出すだけではどんどん薬が増えてしまい、薬が増えるほど副作用のリスクは増えます。
どのような事が起こるか把握しておかないと副作用に気付かない ことがあります。
高血圧の薬について、なぜその薬をあなたが使うべきなのか?
そしてその薬の副作用についても説明し警戒すべき事を説明したいと思います。
そもそも薬とは良い言葉で『身体に良いもの』というイメージがありますが実は身体に大きく作用するものです。
その作用があなたにとってメリットがあるならまさに薬ですが、悪く作用が出ると毒にもなります。これが副作用です。
なのであなたの体を守るために是非知っておいてください。
血圧の薬は大きく分けて4+1種類
その効果と使い分けを知らずに血圧の数字ばかり気にしてもダメ
- ACE阻害剤 ARB
- ベータ遮断薬
- カルシウム拮抗剤
- 利尿剤
- その他
1)ACE阻害剤 ARB
ミカルディス、ニューロタン、オルメテック、ディオバン、ブロプレス、イルベタン、アジルバ、レニベース、コバシルなどまだまだたくさんありますが〇〇サルタンとつくものや〇〇リルとつくものです。
難しい話はあまりしたくないので割愛しますが、レニンアンジオテンシン系という塩分を体の中に保持したり血圧をあげたり、交感神経を優位にするホルモンが体の中にはあります。
これらをブロックすることで血圧を下げるのが1)のグループです。
血圧を下げるだけにとどまらず、心不全の改善効果や腎臓病患者のタンパク尿低下など心臓や腎臓への効果も認められています。
しかし良いことばかりではありません。
副作用として、腎臓に作用するのでもともと腎臓の機能が悪すぎる方は腎機能を悪化させたり、ミネラルバランスを崩してしまい不整脈などを誘発することがあります。
ですので定期的に検査をすることが重要になります。
また〇〇リルとつくACE阻害剤は空咳がでることがあります。
2)ベータ遮断薬
アーチスト、メインテート、カルベジロール、ビソプロロール、イソプロロール、アテノロール、インデラルなどの薬がそれになります。
ベータ遮断薬は自律神経の交感神経をブロックして副交感神経優位にする薬剤です。副交感神経を優位にするのでリラックスした状況を作り出し、血圧や脈拍数を低下させます。
薬剤にもよりますが心不全の予後改善効果や新機能改善効果などが報告されている薬剤になります。
一方で副作用として脈が遅くなりすぎてしまい気が遠くなったり、使い方を間違えると心不全を悪化させてしまう薬剤でもあります。
薬剤にもよりますが喘息や糖尿病のコントロールが悪くなるという報告もあります。
このように使い方によってはすごく良い薬ですが間違うと体に悪影響を及ぼしてしまい副作用がないかどうかこまめにチェックする必要がある薬のうちのひとつです。
3)カルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬はかなり多くの種類がありその中でも種別で分けられています。
良く用いられる薬としてアムロジン、アダラート、アテレック、コニールやヘルベッサーなどかなり多くの種類がありそれぞれ微妙に効果が違いますが、ざっくりというと血管を広げて血圧を下げる薬です。
これまでの薬と比べてシンプルな印象かも知れません。
副作用が少ないと信じられていてかなり多くの方が飲まれています。
しかし実は副作用があり、注意してもらいたいのはむくみ(浮腫)が起こることがあるということと薬によっては脈が遅くなってしまいふらつきがある事です。
それらをチェックするには毎月の診察での体のむくみのチェックであったり検脈であったりですがしっかりとチェックされていますか?ただ薬だけを貰っているようでは危ないかも知れません!
4)利尿剤
利尿剤にもかなり多くの種類がありその中でも種類が多くわかれています。よく使われるものでラシックス、ダイアート、ルプラック、アルダクトン、ナトリックス、フルイトランなどです。
安易にむくみがあるからと薬を出されている方が多い印象です。
体の中の余分な水分(血液も)を尿にして出そうという薬ですがどれも基本的に腎臓に負担がかかります。
そして電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスがくずれてしまうことがありその結果倦怠感が出たり不整脈がでたりすることがあります。
年齢を重ねると誰しも腎臓の機能は低下しますのでずっと同じ量で副作用をチェックされずに出されている方はかなり危ないと思います。
5)その他
ここに分類される薬は現在あまり使われないことが多いですが血圧のコントロールがどうしてもできない方にはいまだ使われるケースもあります。
ここで述べた薬以外を使用されている方で副作用が心配な方はもちろん個別で相談にのりますのでおっしゃってください。
今までのことで頭がいっぱいいっぱいという方多いと思います。
本当はこんなことは医師に任しておけば良いのですが実際あまりに多くの方が専門外の医師から『ただ薬をもらっている』状況で気づいたときには手遅れとなっているのを見てきました。
手遅れにならないために2つ質問してみてください
「この薬は何のために飲むのですか?」
これで血圧を下げるためというだけでは危ないです。
血圧を下げる結果どういう結果があるのか短期的にはどういうことが起こりうるけど長期的にあなたにこういうメリットがあるからという解説がないのであればもしかしたらいらない薬かも知れません。
「この薬は副作用はあるのですか?」
これで「だいじょうぶだいじょうぶ!」と答えられたり、「副作用のない薬はないから!」と一蹴されてませんか?
そうではなく〇〇の可能性がありこれが出たときはやめるしこれのときは続けていてもよいなど指針を示すのが大切です。
当院では説明は勿論ご自宅に帰ってから「あれ?なんて言ってたっけ?」とならないように紙にまとめてお渡ししています。
なにも症状がないけど将来の自分の心臓や脳などを守るために飲む血圧のお薬。症状がないからこそ絶対に副作用を起こしたくないという思いで治療にあたります。
他院で出されている薬だけど副作用があるかだけでも知りたいという方もいらっしゃると思います。
どうぞ気兼ねなくご不安を話にきてください。こちらで薬を出していない方は説明しないなどケチなことは言いません。
あなたが健康であるために私たちが出来る事があれば是非お手伝いさせてください。