当院における新型コロナウイルス感染症への対策につきまして

LDL(悪玉コレステロール)だけ高く困っていませんか?どうやったら下がるか?ほっていて危険はないのか?専門医が解説します。

しぎょう院長

こんにちは、しぎょう循環器内科の執行です。あなたはこんな風に思っていませんか?

  • 痩せているのにLDLだけなぜか高い
  • LDLが高いけど困っていないが受診は必要?
  • そもそもLDLってなんなの?
  • LDL、薬でなく何とか下げたい

本日はこういった疑問にお答えして、出来るだけ薬を使わずにLDLを下げる方法をご説明していきたいと思います。

この記事を書いている人

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長 執行秀彌           

【資格】

日本循環器学会専門医

日本内科学会 総合内科専門医 指導医  

日本心臓リハビリテーション指導士

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LDLってなに?

LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロールは、血液中を循環するコレステロールの約60~70%を占める脂質蛋白質です。LDLコレステロールは、肝臓で生成された後、血液を通じて全身の細胞に運ばれます。しかし、過剰なLDLは動脈の内壁に蓄積し、プラークと呼ばれる脂肪の塊を形成します。プラークが大きくなると、動脈が狭くなり、血流が遮断される可能性が高くなります。

LDLは本当に悪いの?役割は?

仰る通り人体に不要なものは基本的にありません。あくまで過剰になったことが悪影響を与えるだけで、LDL自体は今から言うような役割を担っています。

コレステロールの体内輸送

LDLは、肝臓で合成されたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。コレステロールは細胞膜の構成成分として不可欠で、ビタミンDやステロイドホルモンの合成にも関与しています。

細胞内シグナル伝達

LDLはLDLレセプターと結合することで、細胞内での様々なシグナル伝達経路を活性化させ、細胞増殖や遺伝子発現に関与しています。

免疫応答調節

LDLは免疫細胞のさまざまな機能を調節することで、免疫応答に影響を与えます。炎症反応や自己免疫疾患の進行にも関与すると考えられています。

このようにLDLはとても大切なコレステロールです。しかし、現在の飽食の時代にはLDLコレステロールが過剰に産生されてしまうパラドックスが生まれています。高すぎると、上記の役割を超えて動脈硬化が進行するリスクが高まります。LDLは適度なレベルに維持する必要があり、過剰になった場合は適切な対策が求められます。LDLの役割と量のバランスが重要となります。

LDLコレステロール高値を放置してはいけない理由

高LDL血症は無症状のため、放置しがちですが、重大な健康リスクを伴います。LDLコレステロール値が高いと、以下のようなリスクが高まります。

  • – 動脈硬化による冠動脈疾患
  • – 心筋梗塞
  • – 脳梗塞
  • – 末梢動脈疾患
  • – 透析にいたる腎不全

それではこのようにならないために今あなたがすべきことは何でしょうか?

2つあります。

まずは受診をしよう!


いやいや、結局クリニックへの誘導かい!と突っ込まれている方もいるかもしれません。当院を受診するということではなくLDL下げればいいんでしょうとただ下げるための行動をするだけでは状態によっては手遅れになる方がいらっしゃります。そのためまずは現状のあなたの状態を把握する必要があります。

数値だけ把握するのは健診や献血で簡単に数値は分かります。しかし同じLDLコレステロール値でもあなたの動脈硬化の状態によってその後の対応方法が変わります。

ですのでまずは受診をして大きな方針を決めましょう。ちなみに受診先で結局数値だけで話が進むのであれば出来れば病院を変えて下さい。

数値はもちろん大切ですが結局動脈硬化がどれだけあなたの体で進行しているのかが大切です。

LDLコレステロール値を下げるために出来ることは?

ライフスタイルの改善

食事療法

LDLコレステロール値を下げるための食事療法には、

  • 飽和脂肪酸を減らすこと
  • 食物繊維を多くとること
  • 食事パターンを変えること

それぞれ説明していきます。

飽和脂肪酸を減らす

まず飽和脂肪酸の摂取を制限することが、LDLコレステロール値の低下につながります。飽和脂肪酸は「肉類」「乳製品」「油製品」に多く含まれています。詳しくはネットで調べればすぐに出てくるのでここでは割愛します。

ある研究では、飽和脂肪酸の摂取を1%エネルギー比率分減らすと、LDLコレステロールが1.6mg/dL低下することが示されています。ですので同じ油でも飽和脂肪酸を多く含む食品(バター、チーズ、肉加工品など)を控え、代わりに不飽和脂肪酸を多く含む食品(植物油、魚介類、ナッツ類など)を選ぶことが推奨されます。

食物繊維を増やすこと

食物繊維の摂取量を増やすと、LDLコレステロール値が低下する可能性があります。

麦食品や野菜、果物などの水溶性食物繊維の摂取は、LDLコレステロールを約5~10%程度低下させることが示されています。一方で不溶性食物繊維も、腸内環境の改善を通じてLDLコレステロールを低下させる可能性があります。

食事パターンの改善

DASH食や低炭水化物食事パターンなど、健康的な食生活の実践が重要です。

– DASH食は、LDLコレステロールを約8~10mg/dL程度低下させることがメタアナリシスで示されています。

– 低炭水化物食事は、LDLコレステロールの低下に加え、体重減少や血糖値改善にも効果があります。

運動療法

運動療法は、LDLコレステロール値を低下させる上で重要な役割を果たします。具体的な運動方法とそのエビデンスは以下の通りです。

有酸素運動

・歩行、ジョギング、自転車、水泳などの持続的な有酸素運動がLDLを低下させるのに効果的で、週3回以上、1回30-60分程度が目安となっています。

– 中高強度の有酸素運動を12週間行うと、LDLコレステロール値が約5%低下した報告があります。また有酸素運動は、LDL粒子サイズを大きくし、動脈への沈着をしづらくし動脈硬化の進行を遅らせる可能性が報告されています。

筋肉トレーニング

主要筋群を鍛える重量トレーニングが良く週2-3回程度行いましょう。ビッグ3など調べるとジムでの運動が出てくると思いますので参考にしてください。しかしこの記事を読んでいる方はジム迄行こうと思っている方ばかりではないと思います。とりあえず腕立て伏せと懸垂、スクワットを週に2-3回行うだけでも大きく変化を感じれると思います。

当たり前ですが有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた運動プログラムはより効果が出ます。

– 12週間の複合運動介入で、LDLコレステロール値が約8%低下したとの報告や運動時間が増えるほど、LDLコレステロール値の低下が顕著になる傾向があります。

また、食事療法と組み合わせることでより高い効果が期待できます。専門家の指導の下で安全に運動を実践することが推奨されます。

禁煙

禁煙が、LDLコレステロール値の改善につながるというエビデンスが複数の研究から示されています。

例えば60本以上の研究からのデータを統合したメタアナリシスでは、禁煙後約3ヶ月で平均LDLコレステロール値が約8.5mg/dL低下したことが示されています。またそれ以外にも、禁煙後1年で男性のLDLコレステロール値が約8.1mg/dL、女性で約13.2mg/dL低下したことが確認されています。けど禁煙すると食欲が増進して太るのにどうして?とよく聞かれます。なぜLDLが低下するかというと喫煙は酸化ストレスを高め、LDLコレステロールの酸化を促進させます。また、喫煙は脂質代謝にも影響を及ぼし、LDLコレステロールの産生を増加させると考えられています。禁煙することでこれらの悪影響が改善されるため、LDLが低下すると推測されています。

喫煙は動脈硬化を促進する他の多くの危険因子にも影響を及ぼします。禁煙により、血圧、HDLコレステロールなどの改善も期待できます。

禁煙は動脈硬化性疾患の予防において極めて重要な戦略です。喫煙者には禁煙を強く勧め、禁煙に向けた専門的な支援を提供することが推奨されます。

薬物療法:

以下のような薬が現在使用されています。薬に関してはかなり情報が難しくなるのと今回はLDLについての導入なので詳しい情報は割愛します。しかしこれだけは知っておいてほしいのですがLDLが下がったからすべて良いわけではありません。例えばスタチンとエゼチミブでは同じくらいLDL値が下がっても心臓血管疾患の予防効果には差があります。そういった点についてかかりつけ医に質問しながらご自分にあう薬を選んでください。

– スタチン系薬剤(LDLコレステロール合成を阻害)

– エゼチミブ(LDLコレステロールの吸収を阻害)

– PCSK9阻害薬(LDLレセプターの分解を抑制し、LDL取り込みを促進)

薬物介入のタイミング

一般的な目安は、以下の通りです。

– LDLコレステロール値が180mg/dL以上の場合は、ライフスタイル改善と並行して薬物療法を検討

– 冠動脈疾患や糖尿病などのリスク因子がある場合は、LDL 100mg/dL以上で薬物療法の適応

– 10年以内の心血管疾患発症リスクが20%を超える場合は、LDL 70mg/dLを目標値とし、積極的に薬物療法を導入

HDLコレステロールとの違い

HDL(High Density Lipoprotein)コレステロールは、動脈硬化の進行を抑制する働きがあります。HDLは過剰なコレステロールを末梢組織から回収し、肝臓に運びます。HDLコレステロール値が高いほど、冠動脈疾患のリスクが低くなります。一方、LDLコレステロールは動脈壁に蓄積し、動脈硬化を促進するため、値が高いほどリスクが高くなります。

HDLコレステロール値が高いから大丈夫?

以前テレビや雑誌でしきりにL/H比が言われていました。LDLをHDLでわった数値なのですが、1.5以下だと良い状態、2.5を超えるとリスクが高いと説明されています。確かにそういうデータはあるのですがこれだとHDLが高いとLDLが高くてもL/H比は良い状態になってしまい、患者さんの中にはLDLが高くてもHDLが高いから大丈夫と勝手に決めてしまっている方もいます。

実はそんなことないんです。HDLコレステロール値が非常に高い場合に、血管イベントリスクが増加するというエビデンスが一部の研究で示唆されています。

1. Rotterdam Study (Bots et al., 2003)

この前向きコホート研究では、HDLコレステロール値が77mg/dLを超えると、心血管疾患発症リスクが高くなることが報告されました。HDL 77mg/dL以上の群は42mg/dL未満の群に比べ、冠動脈疾患発症リスクが1.8倍高かったと述べられています。

2. IDEAL Study (van der Steeg et al., 2008)

前向きランダム化比較試験のサブ解析で、ベースラインのHDLコレステロール値が77mg/dL超の患者群では、心血管イベントリスクの有意な増加が認められたと報告されています。

3. LURIC Study (Bowe et al., 2011)

冠動脈疾患患者9,270人を対象とした前向き研究で、HDLコレステロール値90mg/dL以上の群は60mg/dL未満の群に比べ、心血管死亡リスクが約2倍高かったことが示されました。

4. メタアナリシス (Madsen et al., 2003)

複数の前向きコホート研究からのデータを統合したメタアナリシスでは、HDLコレステロール値90mg/dL超の群で心血管イベントリスクの上昇が認められています。

これらの知見から、HDLコレステロール値が極端に高い場合には、かえって動脈硬化や血管イベントリスクが高まる可能性が示唆されています。ただし、その閾値は研究によって多少異なっています。

一方で、多くのエビデンスは低HDLコレステロール値が心血管リスク増加と関連していることを支持しており、適度な高HDLは望ましいとされています。HDLコレステロールの役割や機能についてはまだ解明が必要な部分もあり、更なる研究が期待されます。

まとめ

LDLコレステロール値が高い状態は、重大な健康リスクにつながる可能性があるため、放置することはできません。ライフスタイルの改善と、必要に応じて薬物療法を組み合わせて、LDLコレステロール値を適切なレベルに管理することが重要です。一方、HDLコレステロールは、動脈硬化の進行を抑制する働きがあり、一定値までは値が高いと心血管疾患のリスクが低くなります。定期的な健康診断で血中脂質値をモニタリングし、早期から適切な対策をとることをお勧めします。

以上

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