当院における新型コロナウイルス感染症への対策につきまして

あなたが寝たきりにならないために! 運動、食事はもちろんだが大切なのは骨を若く保つこと!

しぎょう院長

こんにちは、総合内科専門医の執行です。

私は循環器専門医でもありますので比較的高齢の方の診察をすることが多いです。

診察の中でよく寝たきりになってしまわないために運動を始めたことやどんな食事を始めたなど教えてもらうことが多いのですが、肝心なことが分かっていないばかりに運動が原因で寝たきりになってしまうことがあるので今回は

寝たきりにならない為にお話をさせてください。

寝たきりの原因は脳卒中(24.1%)、認知症(20.5%)、骨折・転倒(9.3%)となっており当院の賢いかかりつけ患者さんであるあなたは「ん?結局動脈硬化予防が大切なんだな」とお分かりかと思います。

しかしどれだけ動脈硬化予防をしても転倒や骨折は防げません。

本日は骨折が天国と地獄を分けるんですよというお話とどうやって骨折を防ぐかというお話をさせてください。

同じ運動でも一方は骨折して寝たきりに、その違いは骨の強さにあった。 あなたの骨年齢は?

ある2人の患者さんが対照的でしたのでお話します。

70代の女性AさんとBさんは、共通の友人が転倒して足を骨折し手術を受けたという話を聞いて、「骨折して寝たきりになったら・・・」と急に自分も転倒しないか心配になりました。

二人は、筋力をつけなければと考えて天気のいい日には散歩するのを日課にしました。テレビの体操を見ながら自分で脚の筋肉をつける練習も始めました。二人とも生来の几帳面な性格から、日課の散歩や家の中での筋力トレーニングを欠かしません。

この運動を始めて約半年が経ったころ、Aさんは不幸にも運動中に転倒してしまいました。救急車で病院に運ばれ、友達と同じように骨折し手術が必要でした。手術は成功しましたが結局入院は3ヶ月続きました。

その後もリハビリを行いまいしたが歩くのに杖が必要で、階段のが怖いので、2階には上がれません。友達と旅行に行くことも歩くスピードが遅く迷惑かけてしまうのではないかと遠慮してしまい塞ぎがちな毎日です。

一方のBさんも運動中に転倒をしたことがありましたが骨折もなく運動を1年続けられました。元々膝が少し痛んで階段の上り下りには手すりが必要でしたが、今では手すりは必要ありません。毎日の買い物も近所のスーパーまで歩いて行けます。

さて、同じ時期から同じ運動を始めたAさんとBさんの、この違いを引き起こした理由は何だったのでしょうか?

理由は骨の強さの違いです。

どれだけ筋力があっても転倒してしまうことはあります。その時に骨折するかしないかが運命の分かれ道です。

あなたの骨年齢は何歳ですか?

骨年齢が実年齢よりも進んでしまっていることを骨粗鬆症といいます。骨粗鬆症になってしまっているとちょっとしたつまずきが骨折の原因になります。筋肉ももちろん大切ですが筋肉の前に骨のケアをしてください。

骨粗鬆症とは骨がもろくなっている状態

骨の強さ(骨強度)は、骨の量(骨量、骨密度)と骨の質(骨質)によって決まります。

骨粗鬆症とは、右のように骨密度が少なくなったり骨質が劣化することで骨がもろくなり、骨折が起きやすいもしくは起きた状態です。

女性に多い骨粗鬆症、あなたの骨は大丈夫?

日本国内における骨粗鬆症の患者さんは、推計1280万人といわれていますがその約8割が女性と言われています。

年齢が上がるにつれて骨粗鬆症を患っている方ももちろん増えていきます。

50歳代女性の10人に1人、60歳代女性の5人に1人、70歳代女性の3人に1人、80歳女性の2人に1人が骨粗鬆症といわれています。

なぜかというと骨の代謝に女性ホルモンが働いているのですが徐々に低下して閉経を迎えると骨が急激に傷みやすくなります。

骨粗鬆症は初め症状がないことがほとんど、症状がないうちに検査をして骨の強度を保つことが寝たきりにならないコツ

骨粗鬆症は骨がもろくなる疾患です。先ほどのすかすかな骨をみたら「自分はこんなになっているわけない」と関係ない事と思ってしまうかもしれません。しかしほとんどの方は発症初期は症状がありません。

症状が現れたら実は骨がすかすかになって進行していることも珍しくないのです。

もしかして隠れ骨粗鬆症かも!?

あなたが骨粗鬆症かどうか確認するために骨の量を調べる骨密度測定をしましょう。検査は怖いことがないか不安だと思われるかもしれませんが痛みは全くなくものの数秒で終わります。

検査を恐れる必要はありませんので何かの次いででもかかりつけ医を受診した際に検査をしてみてください。

もしあなたが骨密度が低いと言われてしまっても今から出来る事をすれば骨密度は取り戻せます

あなたの骨に対してできることを知るために少し面倒ですが骨の構造について簡単に説明させてください。

骨は鉄筋コンクリートのような構造

骨と言えばカルシウムをイメージされる方が多いと思います。正しいんですが実はカルシウムだけではありません。カルシウムはリンと一緒になりハイドロキシアパタイトという鉄筋コンクリートのコンクリートの素材として使われています。なお鉄筋の部分はコラーゲンによってできています。

それらのメンテナンスをしているの大工さんが破骨細胞という古い骨を壊す細胞と、骨芽細胞という新たな骨を作っていく細胞です。

この細胞たちが骨を新しく強く保ってくれています。しかしどこかでバランスが崩れていしまうと骨の強さがおかしくなってしまいます。

さて、出来る事は4つです。

☑骨の原材料であるカルシウムをしっかりと体に取り込むこと、

☑骨芽細胞に骨を作ることを促すこと

☑破骨細胞が必要以上に働かないように働きを弱めること

☑せっかく作った骨からカルシウムが漏れ出ないようにすること

大切なのは食事とお薬です(もちろん運動もですが骨を強くしてからです)。

食事ではカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが鍵になる。

カルシウムは骨の原材料のひとつなので説明は不要とおもいます。

ビタミンDはカルシウムの腸内ので吸収を促します。せっかくカルシウムを食べても吸収されなかったら意味がないですよね。

最後にビタミンKですが、骨芽細胞による骨形成を促します。

☑カルシウム
牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品などに含まれます。

☑ビタミンD
サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイなどの魚類にくわえてシイタケ、キクラゲ、卵などに多く含まれています。

☑ビタミンK
納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなどに含まれています。

※ここで注意が必要ですがワルファリンを飲んでいる方はビタミンKで効果が打ち消されてしまうので食べてはいけません!

ということはワーファリンを飲んでいる方は骨粗鬆症のリスクがあるということなので一度かかりつけ医に相談してみてください。DOACなどへの変更を提示してくれるかもしれません。

DOACに替えても良いかどうかはこの記事が参考になるので良ければ読んでくださいね。

続いてお薬です。お薬に関してはいつも口をすっぱくして言っていますが、

「副作用をしっかりと把握してください」副作用を必要以上に恐れて必要な薬を飲まないのも考えものですが、副作用のことを把握していないと知らない間に副作用で体にダメージが出てしまっていることがあります。

本来それがないためにかかりつけ医に薬を出してもらうのですが薬だけ出しっぱなしの医師も多くいるので自己防衛のために副作用については最低限知っておいてほしいです。

さて、ではお薬について必要な知識をご説明します。

お薬であなたが副作用に困らないように効果と副作用を知ろう。

☑骨の原材料であるカルシウムをしっかりと体に取り込む薬

活性型ビタミンD誘導体といいカルシウムの吸収を促進しますし骨形成も促します。

副作用として注意するのは吐き気、下痢、胃部不快感などの胃腸症状がメインです。他には頻度はまれですが腎結石や尿路結石などで排尿時の痛みや血尿がみられることがあります。

後は自分では気づけませんが腎機能が悪化することがあるので定期的にかかりつけ医で採血が必要です。

薬の名前は「エディロール」、「アルファロール」、「ワンアルファ」、「ロカルトロール」などになります。

☑破骨細胞の働きを弱める薬

2種類のお薬が現在使用されています。

まず一つ目はビスホスホネート製剤といい骨粗鬆症治療の要の治療薬です。とても便利な薬なのですが制約もあります。飲み薬でも「毎日服用タイプ」「1週間に1回服用タイプ」「1ヶ月に1回投与タイプ」などタイプがあり便利に思うかもしれませんが飲み忘れに注意が必要です。

また飲み忘れ以外にも飲み方に注意があります。

  • 朝起きたらまず空腹時に180ccの水と一緒に噛まずに飲むこと
  • 飲み終わったら30分(薬のよっては60分)は横にならずに水以外は飲んだり食べたりしないこと
  • 硬水ではなく水道水などで飲むこと

また副作用としては胃部不快感などの消化器症状がメインです。凄く稀ですが顎骨壊死といって骨が壊れることがあります。

薬だけよりも顎骨への影響を及ぼす歯科治療や放射線治療を一緒にやるとでます。しかし重要な副作用なので「歯のぐらつき」や「顎の痛み」が出た場合はすぐに主治医に連絡をしてください。

薬の名前は「アクトネル」「ベネット」「ボナロン」「フォサマック」「ボノテオ」「リカルボン」「ボンビバ」などがあります。

もう一つはデノスマブ製剤というものです。

骨破壊の際に作用する蛋白であるRANKLの働きを邪魔することで破骨細胞の働きを抑えます。

先ほど紹介したビスホスホネート製剤と比べて骨量が増加することが報告されていますが実際は骨折はあまり変わりません。

ですのでどちらの薬でもよいかなという印象です。この薬の便利な点としては一度打つと6か月効果が続くということです。しかし副作用に怖いものがあり採血は小まめにやった方がよいので半年に一度の受診となると少し怖いかなと個人的には思います。

副作用としては頭痛や嘔気などの症状がでることと重要なのが低カルシウム血症です。知らない間にカルシウムが低下しその結果不整脈を誘発することがあります。この不整脈は突然死を起こすリスクがあります。ですので定期的なカルシウムの採血は絶対に必要です。

薬の名前は「プラリア」です。

☑骨形成を促す薬

こちらも2種類の薬があります。ビタミンK製剤と副甲状腺ホルモン製剤です。

まずビタミンK製剤ですが、骨芽細胞による骨形成を助けます。

それ以外には血液凝固に大きな影響を与えており抗凝固薬として知られるワルファリンカリウムはこのビタミンKの拮抗剤です。

そのため何らかの理由(人工弁や心房細動などの不整脈など)でワルファリンカリウムを内服している方は飲めません。薬が効かなくなってしまうので。

副作用としては嘔気や下痢症状などが起こります。

薬の名前は「グラケー」「ケイツー」などです。

続いて副甲状腺ホルモン製剤ですがこちらも骨芽細胞による骨形成を促します。かなり骨折予防効果がつよいので是非使用したいのですが難点が2つあります。まずは注射製剤しかないことです。週に一度(薬によっては毎日)自分でインスリンのように皮下注射をします。もうひとつは効果は強いのですが2年で投与終了しないといけません。そういった点からは長い骨粗鬆症予防治療のなかで切り札として最初からは使われないことが多い印象です。

また副作用としては嘔気などの消化器症状に加えてめまいなどが起こることが報告されています。

薬の名前は「フォルテオ」、「テリボン」があります。

最後に女性だけですが女性ホルモンの補充です。閉経後に骨粗鬆症になりやすいと聞かれて事があるかもしれませんがその原因はまさに女性ホルモンが足りないことによります。

☑女性ホルモンの骨への作用を調整する薬

男性の方は飲むことはないので読み飛ばしてくださって結構です。

しかし女性の方は大変よく用いるし効果もある薬なので是非お読みくだされば嬉しいです。

薬の正式名称はSERM:選択的エストロゲン受容体調整薬いいます。閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の低下による骨代謝のバランスを整えます。

女性ホルモンに作用するので副作用としても更年期のような症状が出ることがあるのが特徴です。ほてりや乳房のはった感じがでることがあります。また頻度は少ないですが静脈血栓症と言ってエコノミークラス症候群の原因になることがあります。

薬品名は「エビスタ」、「ビビアント」があげられます。

まとめ

寝たきりにならないために筋力を維持、アップすることは大切だが転倒で寝たきりになる原因になるのも運動。

運動前に骨の強さを保つのが大切。

まずは骨年齢をしらべて必要なら治療をしよう。

治療には食事と薬。

食事はカルシウムはもちろん、ビタミンK、ビタミンDをとることが大切。

薬は4系統を使い分けるが自分で副作用の管理をできるように知識を持とう。

以上

参考文献

日本骨粗鬆症学会予防と治療ガイドライン

 Ebeling PR:Curr Opin Rheumatol. 2013;25(4): 542-52.

この記事を書いた医師

しぎょう院長

Dr. 執行 秀彌(しぎょうひでや)

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医

日本循環器学会認定循環器専門医
大阪市立大学医学部を卒業後
国立循環器病研究センター病院や住友病院等を経て2020年4月に開業
最寄駅:JR立花駅(徒歩20分)および尼崎センタープール前駅(徒歩10分)