当院における新型コロナウイルス感染症への対策につきまして

咳が2週間以上続いてお悩みのあなたへ、もしかしたら原因は肺ではなく心臓かもしれません。あなたの心臓は大丈夫ですか?

しぎょう院長

こんにちは!今回は長引いている咳でお悩みの方についつい忘れて見逃されてしまっている心臓の病気をしってもらいたくお話をさせてください。

あなたは今こんな悩みありませんか?

  • 絶え間ない咳で眠れず体がだるい、しんどい。
  • なかなか良くならずもしかして重大な病気では?という不安が頭をよぎる。
  • 咳をしてまわりの人に迷惑に思われてないか後ろめたい。
  • 咳を気にして友人会うことや公共の場所をさけており、孤立を感じる。
  • 呼吸器内科にいって言われた通り薬を飲んでいるのに良くならずモヤモヤする

もしあなたがこのようなお悩みをお持ちであれば今回のお話はあなたにとってとても有益だと思いますので是非このままお聞きください。

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喉や鼻、肺だけが咳の原因ではない!

ついつい咳が出るとなると呼吸器内科や耳鼻科を最初選択して受診されると思います。それは確かに最初のアプローチとしては正しいのですが実は喉や鼻や肺以外にも原因があることがあるんです。

例えば逆流性食道炎といって胃の消化液が食道に上がってくることで咳が誘発されるという病気があります。多くの方は逆流性食道炎があると胸やけなどの症状を伴うので消化器内科で解決してもらえるのですが中には胸やけがなく咳だけで悩まれている方がいます。

また長年飲んでいる高血圧のくすりの副作用で咳が続いているという方もいます。

くわしくはこちらをお読みください。

さてもう一つよく見逃されているのが「心不全」という心臓の病気です。心臓は外から見えませんし咳と心臓が関係があるとは思えず患者さんはなかなか循環器内科を受診されません。

それでは心不全はどういった病気なのか、咳がなぜ起こるのか今から説明していきます。

心不全ってどんな病気?

心臓はポンプのようなものだと聞かれた事があるとおもいます。このポンプは、体中に血液を送り出し、血液の中の酸素と栄養素を全身に送り届ける役割を持っています。また送り届けた血液はまた心臓に戻ってきます。ですので血液が全身に送られて戻ってきて、肺にいって綺麗になってまた心臓から送り出される循環を行っているので私たちは循環器内科と呼ばれています。

少し話がそれましたが心不全は、このポンプの働きがうまくいかず循環が上手くいかなくなった状態をさします。

循環がうまくいかなくなるとどうなるでしょう?

例えば大阪の環状線(東京だと首都高?)で4車線のところ事故が起こり2車線しか使えないところができるとその前で渋滞が起こります。

それと同じことが心臓で起こると心臓の手前にある肺に血液がうっ滞してしまいます。すると肺の血管から血液成分が漏れ出し痰になります。その結果咳が出てしまうという事が起こります。これが心不全で咳が起こる理屈です。

ここまで聞いていただきもしかして心臓かもしれないと思うと不安になったと思います。すみません。ではどういう人が心臓を悪くしやすいのか原因になりうる病気を簡単に説明します。原因がないからといって絶対に違うとは言えないので長引く咳がある場合は一度は循環器内科を受診してくださいね。

心不全の原因になりうる疾患

心不全が起こりうる原因は心臓血管です。血管は動脈硬化で傷んでいきますので高血圧や高脂血症、糖尿病などの疾患がある方は自分の事だと思ってください。各疾患について詳しく説明したものがあるのでよろしければお読みください。

では心臓が悪くなったとはどういうことかというと心臓は心筋、心臓の部屋を分ける弁、心筋を動かす電気経路、および栄養補充の血管(冠動脈)から構成されています。血管については先述した動脈硬化によるものが殆どですので省いて、他についてご説明します。

まず心臓の弁が機能していないと逆流が起こるあるいは狭くなって血液が通りづらくなってしまうことが起こります。すると折角送り出した血液が戻ってくるあるいは送り出しにくい、という血液のうっ滞を起こしてしまいます。まずは聴診をしてみて弁の障害がないかどうかを確認します(勿論聴診で問題にと言われても見逃されているケースもあるので油断はできませんが)。もし、かかりつけ医で聴診をしてもらったことがない方は是非循環器専門医に聴診をしてもらってください。怪しければ心臓超音波検査(心エコー)で確認をします。

また心臓の電気経路の問題は心電図で判断するのですが脈が遅い方あるいは乱れやすい方は問題があるかもしれません。咳と脈なんか関係ないだろと思われるかもしれませんが大ありですので是非思い当たることがある方は近くの循環器内科を受診してください。

心不全と言われたら

ここまでお話を聞いていただきもう受診をしてくださった方の多くは安心されたと思いますが残念ながら悪い予感があたり心不全と言われてしまった方もいらっしゃると思います。

色々と不安があると思います。心不全は治るのか?心不全と言われた自分はもう寿命が残っていないのか?このような不安にお答えしこれからの日々を少しでも良い状態で保てるように循環器専門医としてアドバイスをさせていただきます。

まずしっかりとした循環器専門医を主治医にしましょう。そして外来では日々の体重、血圧、むくみの有無、最近の体調(息切れや咳嗽などの有無)を報告してください。

傷んでしまった心臓は元に戻ることは殆どなく環状線の事故現場を片づけたら渋滞が直るのとはちがって車線が減った状態でどうやって渋滞を起こさず血液を必要量送り出せるかということに注意をむけます。

つまり余分な血液は出来るだけ持ちたくないので体重が増えすぎていないかチェックが必要です。血液は塩分によって増加するので減塩に注意をして日々の血圧があがり過ぎないように注意します。患者さんそれぞれの状態に応じて目標血圧が変化するので具体的な数値はここでは控えますが主治医にしっかりと目標値を定めてもらってください。

ではそれらを大前提としてご自宅で気を付けるべき生活習慣について説明していきます。

食事について

まず大切なのは先程も申し上げた塩分制限です。

 1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが望ましいといわれています。そのために調理時の塩分を控え、加工食品や外食を控える必要があります。しかし毎日となるととても難しいのも事実です。

簡単な塩分制限について以前に「高血圧その治療で大丈夫ですか?」に詳しく書かれていますのでよろしければお読みください。

続いて水分管理です。季節によっては制限しすぎると熱中症のリスクがあがるので一概に量を決められないのですが毎日の体重を測定し、安定する量を1日の水分摂取量として管理してください。

アルコール摂取の制限

僕はアルコールが好きなのでなかなか筋腫が難しいですが心不全になると可能であれば禁酒が望ましいのが事実です。飲酒する場合は、医師の指示に従い適量を守って深酒は絶対に避けてください。

運動について

運動は心不全悪化の予防効果があるだけでなく症状の改善、ストレス管理など様々な良い点があります。

しかし心臓が傷んでいて運動をして良いのか?という疑問と、理屈はわかったけどやっぱり怖いという不安がある方が多いです。

有酸素運動が良いというのはご存じだと思いますが、人によってその有酸素運動のレベルが違う事はご存じでしょうか?

例えばウォーキングや軽い水中運動、自転車こぎなどが有酸素運動として紹介されていると思います。しかしそれをどれくらいの強度でやればよいかという事をご存じでしょうか?

実はその方の心肺機能によって変わってくるのですぐに答えが出せません。

簡単な予想式として、(220-年齢-安静時脈数)*(0.3~0.4)+安静時脈拍数くらいの脈拍数の運動が適切な有酸素運動と言われています。

詳しくは心臓リハビリテーションという心不全の方にむけた運動療法を当法人では提供していますのでこちらをご覧ください。

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なお運動時の注意点として、運動前後の準備運動、整理運動を必ず行う。体調不良時や気温が極端に高い/低い日は運動を控える。運動中に胸痛や強い息切れを感じたら直ちに中止する。ということは当然のことですが守ってください。

感染予防

今まで述べた事をしっかりとやっていても感染症を起こしてしまうと積みあげた積木が一気に崩れるように心不全を起こしてしまいます。

ですので毎日のこまめな手洗い、うがい、予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)を定期的に受けて人込みに出る場合はマスク着用をすることが望ましいです。

禁煙

当たり前ですが禁煙が必要です。

当院では禁煙外来を行っています。禁煙補助薬の利用を検討されている方はお声がけください。

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睡眠について

まずは適切な睡眠時間の確保が大切です。人によって差はありますが理想的な睡眠時間は7-8時間程度と言われており多くの人が足りていません。十分な睡眠時間を確保する事が大切です。また時間を確保するだけでなく生活習慣を整え規則正しい就寝・起床時間を維持するようにしてください。

また睡眠の質がとても大切で、夜中にいびきがある方は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高く、心不全患者さんはいびきがなくても呼吸が止まっている方もいます。ですのでいびきは勿論日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けてください。必要に応じて、CPAP療法などの適切な治療を受ける必要があります。

これらの生活習慣管理と注意点を守ることで、心不全の症状コントロールや進行予防に役立ちます。ただし、個々の患者さんの状態によって適切な管理方法が異なる場合がありますので、具体的な指示については必ず循環器専門医である主治医の指導に従ってください。

まとめ

長期間続く咳の原因は肺や喉ではなく心臓の問題である可能性があるので循環器内科医に相談しよう。

その原因は心不全。心臓のポンプ機能が低下し、肺に血液がうっ滞することで咳を引き起こします。

心不全のリスク因子には高血圧、高脂血症、糖尿病などがあり適切な管理が必要です。

 心不全と診断された場合、循環器専門医による適切な管理が重要ですのでかかりつけ医が専門医を持っているか確認をしましょう。

具体的な生活管理の重要ポイントは塩分制限(1日6g未満)、水分管理、アルコール制限、適度な運動(心臓リハビリテーション)、感染予防、禁煙、適切な睡眠です。個々の患者の状態に応じて、主治医の指導に従うことが重要です。

以上

参考文献

1. 日本循環器学会. “急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)”

2. 日本高血圧学会. “高血圧治療ガイドライン2019”

3. 日本心臓リハビリテーション学会. “心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021年改訂版)”

4. 日本睡眠学会. “睡眠呼吸障害診療ガイドライン2020”

5. 日本循環器学会. “禁煙治療のための標準手順書 第8版”

6. Yancy CW, et al. “2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure”. Circulation. 2013

7. Ponikowski P, et al. “2016 ESC Guidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure”. European Heart Journal. 2016

8. Piepoli MF, et al. “Exercise training in heart failure: from theory to practice. A consensus document of the Heart Failure Association and the European Association for Cardiovascular Prevention and Rehabilitation”. European Journal of Heart Failure. 2011

9. He FJ, MacGregor GA. “Effect of longer-term modest salt reduction on blood pressure”. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2004

10. Jefferson JW. “Lithium tremor and caffeine intake: two cases of drinking less and shaking more”. Journal of Clinical Psychiatry. 1988

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