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高血圧のあなたが普段の食事でとれる血圧が下がる飲み物7選!

しぎょう院長

こんにちは!しぎょう循環器内科皮膚科の執行です。今回は血圧を下げる飲み物を7つご紹介します。

高血圧は、日本人の約3人に1人が抱える深刻な健康問題です。2018年の国民健康・栄養調査によると、日本人の高血圧有病者は男性で約6割、女性で約4割にも上ります。この数字は年々増加傾向にあり、現代社会における生活習慣病の代表格と言えるでしょう。

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行し、重大な合併症を引き起こす可能性があります。心筋梗塞、脳卒中、腎臓病など、生命に関わる深刻な疾患のリスクを高めるため、適切な管理が不可欠です。

高血圧の治療には、薬物療法と生活習慣の改善が両輪となります。適切な治療と生活習慣の改善が重要ですが、日々の飲み物選びも血圧コントロールに大きな影響を与えます。この記事では、高血圧の専門家である循環器専門医が科学的根拠に基づいて、高血圧の方が日常的に摂取できる血圧改善に効果的な7つの飲み物をご紹介します。

これらの飲み物を日々の生活に取り入れることで、薬物療法と併用しながら、より効果的に血圧をコントロールすることが期待できます。ただし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言の通り、何事も適度であることが重要です。また、持病がある方は必ず主治医に相談してから新しい飲み物を取り入れるようにしましょう。

それでは早速、血圧を下げる効果が期待できる7つの飲み物について、詳しく見ていきましょう。

この記事を書いている人

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長 執行秀彌           

【資格】

日本循環器学会専門医

日本内科学会 総合内科専門医 指導医  

日本心臓リハビリテーション指導士

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グリーンティー(緑茶)

緑茶は、日本人にとってなじみ深い飲み物であり、その健康効果は古くから知られています。特に血圧低下効果については、多くの研究で証明されています。

効果的な成分

緑茶に含まれるカテキン類(特にエピガロカテキンガレート:EGCG)とテアニンが、血圧低下に寄与します。カテキン類は緑茶の渋み成分として知られ、強力な抗酸化作用を持っています。一方、テアニンはアミノ酸の一種で、リラックス効果をもたらす成分です。

作用メカニズム

カテキン類は強力な抗酸化作用を持ち、血管内皮機能を改善します。血管内皮は血管の内側を覆う薄い層で、血圧調整に重要な役割を果たします。カテキン類がこの機能を改善することで、血圧のコントロールに寄与します。

テアニンにはリラックス効果があり、ストレス由来の血圧上昇を抑制します。ストレスは血圧上昇の大きな要因の一つであり、テアニンによるストレス軽減効果は血圧管理において重要です。

軽度の利尿作用により、体内の余分な水分と塩分を排出します。これにより、血液量が適正に保たれ、血圧の安定化につながります。

おすすめの摂り方

1日3〜5杯の緑茶摂取が推奨されます。ただし、個人の体質や生活習慣によって適量は異なる場合があります。

利尿作用に言及しましたが水出しをすることでカフェインが出ることを避けることができます。緑茶のカフェイン含有量は、コーヒーの約半分程度ですが、カフェインに敏感な方は水出しがおすすめです。

注意点

緑茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収を阻害する可能性があるため、貧血気味の方は食事と緑茶の摂取時間を30分以上空けることをおすすめします。

緑茶は日本の伝統的な飲み物であり、多くの人にとって日常的に摂取しやすい飲み物です。その手軽さと効果の高さから、高血圧対策の第一歩として取り入れやすい飲み物と言えるでしょう。

ビーツジュース

ビーツは、鮮やかな赤紫色が特徴的な根菜類です。近年、その血圧低下効果が注目され、欧米を中心に研究が進んでいます。日本ではあまりなじみがありませんが、その効果は注目に値します。

効果的な成分

ビーツに豊富に含まれる硝酸塩(ナイトレート)が、血圧低下に寄与します。硝酸塩は植物性食品に多く含まれる成分で、特にビーツは他の野菜と比較して非常に高濃度の硝酸塩を含んでいます。

作用メカニズム

体内で硝酸塩が亜硝酸塩に変換され、さらに一酸化窒素(NO)に変換されます。NOは血管を拡張させ、血流を改善することで血圧を下げます。

この過程は「硝酸塩-亜硝酸塩-NO経路」と呼ばれ、血管内皮細胞が十分に機能していない場合でも血管拡張効果を発揮できる点が注目されています。

おすすめの摂り方

1日250ml程度のビーツジュース摂取が効果的とされています。研究によっては、この量のビーツジュースを飲むことで収縮期血圧が平均4-5mmHg低下したという報告もあります。

注意点

ビーツには自然な甘みがありますが、市販のジュースには糖が添加され多くの糖分が含まれていることがあるため、糖分の摂取量に注意が必要です。糖尿病や肥満傾向のある方は特に注意しましょう。

また、ビーツジュースを飲んだ後、尿や便が赤くなることがあります。これは正常な現象で心配する必要はありませんが、血尿と間違えて心配する方もいらっしゃいます。このような変化が起こる可能性があることを事前に知っておくと安心です。

ビーツジュースは即効性があり、飲んでから数時間以内に血圧低下効果が現れ始めます。ただし、効果の持続時間は比較的短いため、定期的な摂取が重要です。

低脂肪乳

乳製品、特に低脂肪乳は、血圧低下効果が科学的に証明されています。DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)と呼ばれる高血圧予防のための食事法でも、低脂肪乳製品の摂取が推奨されています。

効果的な成分

カルシウム、カリウム、マグネシウム、乳タンパク質(特にカゼインペプチド)が血圧低下に寄与します。これらの栄養素がバランスよく含まれていることが、低脂肪乳の血圧低下効果の鍵となっています。

作用メカニズム

カルシウムは血管平滑筋の収縮を調整し、血圧を安定させます。カルシウムチャネルを介して血管平滑筋の収縮を抑制する効果があります。

カリウムは体内のナトリウム排泄を促進し、血圧を下げます。ナトリウムとカリウムのバランスが血圧調整に重要な役割を果たしています。

マグネシウムは血管を拡張させる効果があります。また、心臓のリズムを整える作用もあり、循環器系全体の健康に寄与します。

乳タンパク質には、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用があり、血圧上昇を抑制します。ACEは血圧を上昇させるホルモンの産生に関与する酵素で、これを阻害することで血圧上昇を抑えます。

おすすめの摂り方

1日2〜3杯(1杯200ml程度)の低脂肪乳摂取が推奨されます。この量であれば、カロリー摂取を抑えつつ、必要な栄養素を効果的に摂取することができます。

注意点

乳糖不耐症の方は、ラクトースフリーミルクや植物性ミルク(豆乳など)を選択しましょう。ただし、植物性ミルクを選ぶ場合は、カルシウムが強化されているものを選ぶことをおすすめします。植物性ミルクは種類によって栄養価が大きく異なるため、成分表示をよく確認して選びましょう。

低脂肪乳は、高血圧対策だけでなく、骨粗しょう症の予防や筋肉の維持にも効果があります。特に中高年の方にとっては、総合的な健康維持のために重要な飲み物と言えるでしょう。

ハイビスカスティー

ハイビスカスティーは、ハイビスカスの花びらを乾燥させて作られるハーブティーです。その鮮やかな赤色と酸味が特徴的で、血圧低下効果が注目されています。特に欧米では人気のハーブティーの一つです。

効果的な成分

アントシアニンやその他のポリフェノール類が血圧低下に寄与します。アントシアニンは赤や紫の色素成分で、強い抗酸化作用を持っています。

作用メカニズム

アントシアニンには、ACE阻害作用があり、血管収縮を抑制します。ACE阻害作用は、血圧を上昇させるホルモンの生成を抑える効果があります。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善します。これにより、血管の弾力性が保たれ、血圧の安定化につながります。
軽度の利尿作用により、体内の余分な水分と塩分を排出します。過剰な水分と塩分の排出は、血圧低下に直接的に寄与します。

おすすめの摂り方

1日2〜3杯(1杯240ml程度)のハイビスカスティー摂取が効果的とされています。研究によっては、この量のハイビスカスティーを6週間継続して飲むことで、収縮期血圧が平均7.2mmHg、拡張期血圧が3.1mmHg低下したという報告もあります。

乾燥ハイビスカスを熱湯で5〜10分程度抽出して飲む。長時間抽出すると酸味が強くなるので、好みの強さに調整しましょう。酸味が苦手な方は水出しで作るとまろやかな味わいのハイビスカスティーが楽しめます。

注意点

ハイビスカスティーには利尿作用があるため、過剰摂取は脱水のリスクがあります。特に暑い季節や運動後は水分補給に注意しましょう。

また、酸性度が高いため、胃酸過多の方は控えめにしましょう。胃腸に敏感な方は、食後に飲むなど、飲むタイミングを工夫することをおすすめします。

妊娠中の方は、子宮収縮を促す可能性があるため、摂取を控えることをおすすめします。妊娠中の方は、代わりに他の安全な飲み物を選択しましょう。

ザクロジュース

ザクロは、古くから健康食品として知られていますが、近年その血圧低下効果に注目が集まっています。中東やインドでは伝統的に健康維持のために用いられてきた果実です。

効果的な成分

ポリフェノール(特にエラグ酸)、アントシアニン、タンニンが血圧低下に寄与します。これらの成分は強力な抗酸化作用を持ち、総合的に血管の健康を促進します。

作用メカニズム

ポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善します。これにより、血管の弾力性が保たれ、血圧の安定化につながります。

ACE阻害作用により、血管収縮を抑制します。ACE(アンジオテンシン変換酵素)は血圧を上昇させるホルモンの生成に関与するため、その阻害は直接的に血圧低下につながります。

一酸化窒素(NO)の産生を促進し、血管を拡張させます。NOは血管を弛緩させる重要な物質で、血流を改善し血圧を下げる効果があります。

おすすめの摂り方

1日150〜300mlのザクロジュース摂取が効果的とされています。ただし、ザクロジュースは比較的カロリーが高いため、摂取量には注意が必要です。

注意点

ザクロジュースには、グレープフルーツジュースと同様に、CYP3A4という薬物代謝酵素の働きを抑制する作用があります。そのため、一部の薬剤(特に高血圧や高コレステロール治療薬)との相互作用が報告されているため、薬を服用中の方は医師に相談してから摂取しましょう。

特に、スタチン系のコレステロール低下薬や一部の降圧剤、抗不整脈薬などとの相互作用に注意が必要です。これらの薬の効果が強くなりすぎたり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。

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トマトジュース

トマトは、栄養価が高く、様々な健康効果が知られています。特に、低塩のトマトジュースは血圧低下効果が期待できます。トマトは野菜の中でも特に栄養価が高く、「野菜の王様」とも呼ばれています。

効果的な成分

リコピン、カリウム、ビタミンC、ポリフェノールが血圧低下に寄与します。特にリコピンは、トマトの赤い色素成分で、強力な抗酸化作用を持っています。

作用メカニズム

リコピンには強力な抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善します。これにより、血管の弾力性が保たれ、血圧の安定化につながります。

カリウムは体内のナトリウム排泄を促進し、血圧を下げます。ナトリウムとカリウムのバランスが血圧調整に重要な役割を果たしています。

ビタミンCは血管を柔軟に保ち、血圧の安定化に寄与します。また、コラーゲンの生成を促進し、血管の健康維持に貢献します。

ポリフェノールにはACE阻害作用があり、血管収縮を抑制します。これにより、血圧上昇を抑える効果が期待できます。

おすすめの摂り方

1日200〜300mlの低塩トマトジュース摂取が効果的とされています。研究によっては、この量のトマトジュースを8週間継続して飲むことで、収縮期血圧が平均3-4mmHg低下したという報告もあります。

ブラックペッパーを少量加えると、リコピンの吸収率が上がるという研究結果もあります。

注意点

通常のトマトジュースには塩分が多く含まれていることがあるため、必ず低塩タイプを選びましょう。市販のトマトジュースの中には、1本(200ml)当たり2g以上の塩分を含むものもあります。これは1日の塩分摂取推奨量(6g未満)の3分の1以上に相当します。

また、トマトは酸性食品のため、胃酸過多の方は控えめにする必要があります。胃腸に敏感な方は、食後に飲むなど、飲むタイミングを工夫することをおすすめします。

トマトジュースは栄養価が高く、血圧低下効果以外にも様々な健康効果が期待できます。例えば、リコピンには前立腺がんのリスクを低下させる可能性があるという研究結果もあります。また、ビタミンCは免疫機能の向上にも寄与します。

コーヒー

コーヒーと血圧の関係については長年議論がありましたが、最近の研究では、適量のコーヒー摂取が長期的には血圧低下に寄与する可能性が示唆されています。以前は、コーヒーに含まれるカフェインが一時的に血圧を上昇させることから、高血圧の人はコーヒーを控えるべきだという考えが一般的でした。しかし、最新の研究結果は、その考えを覆すものとなっています。

効果的な成分

クロロゲン酸やその他のポリフェノール類が血圧低下に寄与します。クロロゲン酸は、コーヒー豆に含まれる主要な抗酸化物質です。

作用メカニズム

クロロゲン酸には抗酸化作用があり、血管内皮機能を改善します。これにより、血管の弾力性が保たれ、血圧の安定化につながります。 軽度の利尿作用により、体内の余分な水分と塩分を排出します。これは直接的に血圧低下につながります。

長期的な摂取により、コーヒーに対する耐性ができ、一時的な血圧上昇効果が緩和されます。つまり、習慣的にコーヒーを飲んでいる人では、カフェインによる一時的な血圧上昇効果が弱まるのです。

おすすめの摂り方

1日3〜4杯(1杯180ml程度)のコーヒー摂取が適量とされています。この量であれば、血圧低下効果が期待でき、かつカフェインの過剰摂取も避けられます。 ブラックコーヒーが最も効果的です。砂糖やクリームを加えると、カロリーが増加し、健康効果が減少する可能性があります。

エスプレッソやフレンチプレスで抽出したコーヒーは、ペーパーフィルターを使用したドリップコーヒーよりも、血中脂質を上昇させる成分(カフェストールやカーウェオール)が多く含まれるため、注意が必要です。

注意点

カフェインに敏感な方や、不整脈のある方は、カフェインレスコーヒーを選択しましょう。カフェインレスコーヒーでも、クロロゲン酸などの有効成分は含まれています。

また、コーヒーの過剰摂取は不眠やイライラの原因となる可能性があるため、自分の体質に合わせて適量を守ることが重要です。特に、午後遅くのコーヒー摂取は睡眠に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

コーヒーには血圧低下効果以外にも、2型糖尿病やパーキンソン病、アルツハイマー病のリスクを低下させる可能性があるという研究結果もあります。ただし、これらの効果を得るためには、長期的かつ適量の摂取が重要です。

具体的なお話はこちらの記事に書いているので是非興味のある方はご一読いただければ幸いです。

まとめ

これら7つの飲み物は、科学的根拠に基づいて血圧低下効果が期待できるものです。しかし、飲み物だけで高血圧を完全にコントロールすることは難しいことも事実です。現在のあなたの血管や心臓の状態を把握しておく必要があります。

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そして降圧薬は現在は不要と言われて健康のためにこれらの飲み物を摂取しながら、定期的に血圧を測定し、その変化を記録することをおすすめします。血圧の変化を可視化することで、自分の体調の変化や生活習慣の改善効果を実感しやすくなります。これは、継続的な取り組みのモチベーション維持にも役立ちます。

この記事が、あなたの健康増進の一助となれば幸いです。結果は一朝一夕には得られませんが、日々の小さな努力の積み重ねが、大きな変化をもたらします。今日から、これらの健康的な飲み物を生活に取り入れてみませんか?あなたの健康的な未来への第一歩が、ここから始まるかもしれません。

以上

参考文献:

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