こんにちは、循環器専門医の執行です。
早速ですが、もしあなたが動悸で下記の一つでも当てはまるなら、ぜひこの記事でお悩みを少しでも和らげるのに役立ててほしいと思います。
- ☑動悸が起こったときは血の気が引いて本当に不安だった。原因を知りたい
- ☑いつやってくるかわからない動悸が不安で常にびくびくしている
- ☑動悸が起こって病院にいったが何もないといわれて心配が解消されない
- ☑動悸の悩みから解放されたい
動悸、ドキドキと言いますがそもそも原因は何なのでしょうか?ついつい不整脈のことばかりに意識が向きますが実はそれ以外にも原因があるんです。
まずは動悸がなぜ起こるのかを説明していきます。
動悸の原因は大きく分けて3つ不必要に怖がる必要がない!
- 心臓の拍動数が乱れたり、急に速くもしくは遅くなった場合
- 数は変わらないが、拍動が強くなりドキドキと感じる場合
- 異常所見がないのに、ただ自覚的に動悸を感じるという場合
さて、1.がいわゆる皆さんが思っている動悸の原因の不整脈になります。しかしそれ以外の原因で2.、3.があるのをご存じでしょうか?
2.の場合はいわゆる血圧が上昇した場合です。拍動を感じるというのは上の血圧と下の血圧の差が拡がっている状態で感じやすくなります。
このことを脈圧の上昇と言います。(脈圧=上の血圧ー下の血圧)
脈圧が上がる原因は多くあるのですが一般的には上の血圧が上昇する血圧の上昇です。ほかに脈が急激に遅くなった、大動脈弁の逆流が出てきたなどもあり得ますが突然起こる可能性は血圧の上昇よりはるかに少ないのでほぼ血圧の上昇と思ってよいでしょう。
血圧の急な上昇自体は3.とも関連していて精神的、肉体的ストレスや睡眠不足、喫煙、飲酒などによって起こることが多いです。
血圧の上昇自体はそこまで心配なことではありませんが、よく起こる場合は血管が硬くなっている可能性があり一度動脈硬化がどこまで進んでいるのかを調べた方が良いかもしれません。詳細はリンクにありますのでよろしければお読みください。
3.に関しては精神的なもので1.2.が完全に否定できたら初めて3.として対応するのが原則です。
なぜなら、実は危ない病気が隠れているかもしれないのにほったらかしになって進行していてはいけないからです。
ですのでしっかりと検査もせずに「大丈夫だから、気のせいじゃない?」と扱われているのであれば注意が必要です。
さて、では一番気になる1)についてです。
よくある解説では不整脈のそれぞれの種類を説明しているサイトが多いのですが不整脈は種類も10数種類と多いですしそもそも患者さんからしたらどの不整脈なのか判断がつかないのであまり意味がある情報ではないですよね。
そこで今回は不整脈に関して患者さん目線で解説したいと思います。
不整脈というとなんか怖い、嫌な言葉ではありませんか?しかし結局気になるのは、その不整脈は命にかかわるのか、薬を飲む必要があるのか
- 命に係わるの?
- 命にかかわらないけど薬を飲むなど治療をうける必要があるの?
- そうでなければほっておいてよい
の3種類に分けることができます。
1,は本当に珍しいですが、起こってしまうと大変な不整脈です。そういった不整脈の特徴として
命に係わる不整脈に多い特徴はこれ!当てはまればあなたは危険かも。すぐに受診を。
- 失神したことがある
- 心臓が大きいと言われたことがある
- 息切れがあったり、足のむくみがある
- 血縁者で40歳未満での突然死の方がいる
この特徴にひとつでも当てはまれば1.の可能性があるのですぐに病院を受診しましょう。
ほとんどの方は先ほどの項目に当てはまらないと思います。
さてでは2.なのか3.なのかです。
あなたの不整脈は薬などの対応が必要なのか?それはあなたの心臓や症状による。不整脈の種類を知るよりも自分の心臓と症状をしっかりと知ろう。
不整脈の種類によって対応方法が変わると思っている方が多いですしそれによるところも大きいのですが、心臓に負担があり弱っている方であればその不整脈は治療をしないといけませんし、不整脈の個数によって悪くない不整脈でも治療をしないと負担になってしまうことがあります。
ですので2.か3.かを分けるときに自分自分の心臓が元気なのか?不整脈がどれくらいの頻度で起こっているのかによって対応方法が変わります。
つまり健康診断の結果で不整脈の種類が書かれていてそれを見ただけで「大丈夫」と言ってしまうのは時期尚早です。
一例をあげると心室性期外収縮という不整脈がありますが問題ないとされている不整脈の一つです。
しかしあまりに個数が多い場合は心臓に負担がきている場合や将来負担がくる場合もあります。
ですので種類だけでは話ができないことを知っておいてください。
その結果心臓に問題がない場合は医学的には様子観察でよいといえるのですが、どうしても自分の症状がつらくて日常生活の支障になる場合は治療を行うことになります。
まとめ
・動悸を感じたらまずは血圧と脈を取ろう。
・血圧が高くて脈が早くも遅くない場合は血圧が急上昇したことによる可能性が高い。血圧が上がりやすい動脈硬化がどこまで進んでいるか調べよう
・脈が飛んでいたり速い遅いなど異常があれば不整脈として対応しよう
・失神や突然死の家族歴、息切れ、浮腫などがある場合は致死性不整脈の可能性があり急いで受診をしよう
・致死性不整脈の可能性が低ければ後は自分の心臓の状態や症状によって対応方法が変わるので循環器専門医にゆっくりと相談をしよう。
以上
この記事を書いた医師
執行 秀彌(しぎょうひでや)
しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
大阪市立大学医学部を卒業後
国立循環器病研究センター病院や住友病院等を経て2020年4月に開業
最寄駅:JR立花駅(徒歩20分)および尼崎センタープール前駅(徒歩10分)