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あなたの血のサラサラ度はどれくらい?血をサラサラにする薬って意味があるの?

しぎょう院長

こんにちは、しぎょう循環器内科皮膚科の執行です。
今回はよく患者さんに外来で聞かれる「私の血液はドロドロですか?」「どうしたら血液がサラサラになりますか?」という質問に関して僕なりのお答えをしたいと思います。

良く聞かれるのですがそもそも血のサラサラ度とはなんでしょうか?また血をサラサラにする薬と言われている薬はいったい何なのか?同じ言葉でも全然意味が違って使われていることもあり患者さんが混乱する原因になっていると思います。

この記事を書いている人

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長 執行秀彌           

【資格】

日本循環器学会専門医

日本内科学会 総合内科専門医 指導医  

日本心臓リハビリテーション指導士

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そもそも血液のサラサラ度とは?

血液の粘度をさしており血液は主に赤血球、白血球、血小板、血漿という成分から成り立っています。この中でも特に赤血球の粘り気や凝集性が、血液のサラサラ度に大きく影響します。

ここまで読んで、「あれ?コレステロールとか血糖値とかではないの?」と思われる方もいるかもしれません。確かに影響はあるのですが血液粘度への影響はそこまで大きくなく寧ろ血液内の水分量やたんぱく量の方が関係性は大きいです。

では血液はサラサラでなくて良いの?

もちろんそんなことはなく血液粘度が高い人ほど心筋梗塞や脳卒中の発生率が高いことが分かっています。

つまり本来の血液の粘度の意味でも粘度を下げるために出来る事をしっかりとやっていくことが大切な事が分かると思います。しかし質問してこられる患者さんが思われている「血液のサラサラ度」とは少し意味合いが違います。

面倒なことを言っているのは自覚しているのですがなぜこんなことを言うかというと、血液がサラサラというのはイメージの部分が大きくイメージ先行になると本当は効果が証明されていない健康食品を買い求めてしまったり、実は逆効果の運動をしてしまったりされている方がいらっしゃるのでこういったことを書きました。

例えば「ホットヨガ」とても健康に良さそうで血がサラサラになっていそうですよね?ですが実際は多量の汗をかくので脱水になり血液粘度は一時的に上昇します。水分をしっかりとっているから大丈夫と言われる方もいますが水分をとって血液内に取り込まれ元の状態に戻るのに4時間かかることが分かっています。つまり一時的には必ず脱水になり血液粘度があがります。

ここではイメージではなく本当にあなたにとって「血液をサラサラにする=動脈硬化疾患になりにくい体」になるために出来ることを説明していきたいと思います。

まずどれくらい現在あなたは血液がサラサラしているあるいはドロドロしているか見ていきましょう。

  1. 肉と魚なら肉派!
  2. おなか回りが出てきた(男性85cm、女性90cm)
  3. 運動は週に1回以下
  4. 外食が週に3回以上ある
  5. タバコを吸う
  6. ストレスが多い
  7. 健康診断で血圧やコレステロール値、血糖値がひっかかった
  8. 夜中に目が覚めてしまう
  9. アルコールを飲むことが好き
  10. お菓子を毎日食べている

どれくらい引っかかったでしょうか?多いほどドロドロである可能性が高いです。

  • 2以下はこの生活習慣を維持しましょう
  • 3-6は少しドロドロ?
  • 7-8は危ないかも
  • 9-10は今すぐ検査を

血液をサラサラにする食べ物は何がある?その根拠も含めて解説

納豆

皆さんご存じの通り納豆には血液をサラサラにする効果があることが知られています。その主な理由は2つあります。

ナットウキナーゼの働き

納豆に含まれるナットウキナーゼというものがフィブリンを分解する酵素として知られています。フィブリンは血液の凝固に関与する主要なタンパク質ですが、分解されることで、血液の粘度が低下します。

ビタミンK2の含有

 納豆にはビタミンK2が豊富に含まれています。 ビタミンK2は血液凝固を促進する因子の活性化を抑制するため、血液をサラサラにする効果があります。ここまで読んで、ワルファリンを飲んでいる方は、あれ?納豆食べたら血栓ができるからダメと主治医に言われているのだけど嘘?と思われるかもしれません。

それは本当ですので早合点して納豆を食べないでください。

話が少しそれますが大切な事なので解説させてください。

ワルファリンはビタミンKの働きを抑制することで血栓ができづらい状態を作っています。そこで納豆のビタミンKがその効果を打ち消してしまうのです。え?じゃあやっぱり良くないのか?と思われるかもしれません。実はワルファリンが抑制しているのは主にビタミンK1と言われるフィトナジオンという物質でその抑制が上手くいかなくなるとワルファリンの効果が出なくなってしまいます。一般の人と同じくらいの血液に戻るだけです。普通の人が食べるのは良いですが血栓ができやすい人がワルファリンを処方されているので一般の人と同じ血液に戻ると血栓ができてしまうという理屈です。

そして納豆にはビタミンK1だけでなくK2が含まれていてそれがメナキノンといいます。。メナキノンは、フィトナジオンに比べて血液凝固促進作用が弱く、むしろ適度な量では血液をサラサラにする効果があるのが特徴です。

多くの研究で、納豆の摂取が血液粘度の低下や血液凝固能の改善に寄与することが確認されています。

例えば、高血圧患者を対象とした研究では、納豆を1日1パック(約40g)摂取することで、4週間後に血液粘度が約10%低下したという報告があります。

また、心血管疾患患者を対象にした別の研究では、納豆の継続摂取によって血小板凝集能が有意に抑制されたとの結果も得られています。

このように、納豆は血液をサラサラにする優れた食品といえます。

玉ねぎ

玉ねぎには以下のような成分が含まれており、血液をサラサラにする効果が期待できます。

クエルセチン

 玉ねぎには抗酸化作用のあるクエルセチンが豊富に含まれており、血小板の凝集を抑制し、血液の流動性を高める作用があります。

フラボノイド

  玉ねぎにフラボノイド化合物も多く含まれ、血管内皮細胞の機能を改善し、血液粘度を低下させる効果が報告されています。

ジアリルジスルフィド

玉ねぎに含まれるジアリルジスルフィドは血小板凝集を阻害し、フィブリノゲン濃度を低下させるため、血液をサラサラにします多くの臨床研究で、玉ねぎの摂取が実際に血液粘度の低下や血流改善に効果的であることが示されています。

こういった成分の効果があり高コレステロール血症患者を対象にした研究では、玉ねぎジュースを1日300ml摂取することで、4週間後に血液粘度が約10%低下したという報告があります。

にんにく

にんにくには以下のような成分が含まれており、血液の流動性を高める作用があります。

アリル化合物

にんにくに含まれるアリシンやジアリルジスルフィドなどのアリル化合物には、血小板凝集を抑制する効果があります。これにより、血液の粘稠性が低下し、血流が改善されます。

ポリフェノール化合物

にんにくには強い抗酸化活性を示すポリフェノール化合物が含まれており抗酸化物質は、血管内皮機能を改善し、血液粘度の低下に寄与します。

高コレステロール患者にニンニク油を投与したところ、血液粘度が有意に低下したという報告や、にんにくサプリメントを摂取した群で、フィブリノゲン濃度の低下が報告されています。(※フィブリノゲンは血栓の元です)

これらの結果から、にんにくには血小板凝集抑制作用や抗酸化作用を介して、血液をサラサラにする効果があることが示唆されています。

ごま

ごまには以下のような成分が含まれており、血液粘度の改善に寄与します。

リノール酸

ごまには血液をサラサラにする生理活性脂肪酸のリノール酸が豊富に含まれています。リノール酸は赤血球の変形能を高め、血液粘度を低下させる作用があります。

ライグナン化合物

ごまには抗酸化作用のあるライグナン化合物が含まれ血小板凝集を抑制する効果も報告されています。

高コレステロール血症患者にごまサプリメントを投与したところ、血液粘度が有意に低下した報告や、高脂肪食を摂取させたラットにごま油を投与すると、血小板凝集能が抑制されたという報告などです。

これらの結果から、ごまに含まれるリノール酸やライグナン化合物が、血液をサラサラにする効果を発揮することが示唆されています。

ごまは手軽に摂取できる食品で、血液の流動性改善に期待できる健康食材といえます。ご自身の体調に合わせて、上手に取り入れていくことをおすすめします。

青魚

ご存じの通り青魚はとても良い効果があります。僕は以前港町にアルバイト医師として外来業務をしに行っていましたが、90歳でも肌艶がよく元気な高齢者がとても多かったのに驚かされたのを覚えています。

EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)

青魚に多く含まれるこれらのオメガ3系脂肪酸は、赤血球の変形能を高める作用があり、赤血球の変形能が高まると、血液の流動性が改善されます。

ビタミンD

– 青魚には血液をサラサラにするビタミンDも含まれており血管内皮機能を改善し、血小板凝集を抑制する作用があります。

特にDHAやEPAの内服と動脈硬化性疾患の関連については数多くの有力なエビデンスがあります。

1. GISSI-Prevenzione試験(1999年)

– 心筋梗塞既往者を対象に、EPAとDHAを補充したところ、心血管死亡リスクが17%低下した。

2. JELIS試験(2007年)

– 高コレステロール血症患者を対象に、EPAの補充により冠動脈疾患のリスクが19%低下した。

3. REDUCE-IT試験(2018年)

– 心血管疾患リスク因子を有する患者に、EPA製剤を投与したところ、心血管イベントのリスクが25%低下した。

つまり、DHAやEPAは単に血液をサラサラにするだけでなく、動脈硬化のプロセスそのものを改善する可能性があるのです。このようなエビデンスから、動脈硬化性疾患のハイリスク患者におけるDHAやEPAの補充は、重要な予防的アプローチの1つといえます。

さてここまで食品についてお話をしてきましたが如何でしたでしょうか。何事もやり過ぎはよくありませんが毎日の食卓に少しこれらを加えてもらうだけであなたの血液サラサラ度に寄与すると思います。

続いて次は血をサラサラにする薬について説明させてください。

しかしここにも2つの意味で血をサラサラにする薬という言葉が使われているので事故が起こらないようにご説明したいと思います。

血をサラサラにする薬はどのような効果があるの?

まず血をサラサラにする薬と言われているもので効果は千差万別です。

よく血をサラサラにする薬を飲んでいるから食事は気にしないで好きなものを食べていると言われたり、あるいは逆に血をサラサラにする薬を飲みたくないから毎日納豆を食べています!など患者さんがいう血をサラサラにする薬と我々医師が処方するときに血をサラサラにする薬は意味合いが全然違います。

我々医師がいう血をサラサラにする薬というのは本当に出血しやすくなる薬です。出血リスクをとって血栓リスクを減らしていきます。

その中でも種類が分かれていて患者さんにとっては分かりづらいのはやむを得ません。ですのでここでは少しでも分かりやすくご説明できればと思います。

抗血小板剤

その名の通り血小板という血栓を作る細胞の働きを抑えることで血栓イベントを減らします。アスピリン、バイアスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、プラビックス、エフィエントなどが処方されていることが多いです。

基本的には心筋梗塞や狭心症、脳梗塞の再発予防で処方されることが多いです。再発予防ですので今まで一度もなっていない方の初発予防に関しては現在は疑問符がついています。昔の処方でずっと漫然とアスピリンを飲んでいて出血してしまったという方もいらっしゃり本当に必要なのかというのを常に見ておきたい薬です。

抗凝固薬

抗凝固薬というのは先ほどの抗血小板とちがい凝固系という別の血栓経路を抑える薬です。かなり難しいので説明は割愛しますが抗血小板とは全然効果が違います。まれに抗血小板剤で代用しているような薬の出方を見ますが意味がないと言われています。

ワルファリンという昔から使用されていた薬とDOACというビタミンKではなく直接凝固因子を抑制する薬に分けられています。

アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、ダビガトランなどです。

先ほどの抗血小板剤と違い心房細動、静脈血栓塞栓症、人工弁置換術後などに使用されます。

基本的にはDOACが値段は高いが出血リスクがワルファリンより少なく納豆などビタミンKを含む食品を安心して食べられるのが特徴です。

しかし人工弁にたいしてはDOACでは血栓リスクが高いことが報告され現時点ではワルファリンが使用されています。

いきなり健康情報ではなくがっつりの疾患と薬剤に関する情報になり申し訳ありません。しかし患者さんの血がサラサラという言葉は冒頭に申し上げた通りかなりあやふやで定義がないものです。

定義がないから適当なイメージで治療が進んでしまっている人を散見します。

あなたはそのような事にならないためにこの記事をお読みいただき少しでも役立てていただければ嬉しく思います。

以上

引用文献

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