当院における新型コロナウイルス感染症への対策につきまして

あなたは血圧が健診でひっかかり正常値じゃないと焦っていませんか?年代によって正常値が違う事をご存じですか?

しぎょう院長

こんにちは、本日は「血圧の正常値」についてご説明をしていきたいと思います。というのもあなたはこんな思いはありませんか?

☑健診で血圧が引っ掛かったけど本当に危ないの?

☑そもそも血圧が正常でないとだめなの?

☑症状がないのに高いだけで薬をのまないといけないの?

このような疑問があると思います。まずは血圧が正常かどうかですが健診の用紙は年代別に正常値が分かれていることもなく十把ひとからげです。

あなたが30歳の時と60歳のときではやはり正常値というのは異なってきます。それでは今回「血圧の正常値」についてご説明をしたいと思います。

この記事を書いている人

しぎょう循環器内科・内科・皮膚科・アレルギー科 院長 執行秀彌           

【資格】

日本循環器学会専門医

日本内科学会 総合内科専門医 指導医  

日本心臓リハビリテーション指導士

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高血圧の定義は?

まず高血圧の定義から見ていきましょう。

成人における血圧値の分類

分類収縮期血圧拡張期血圧
病院での高血圧基準≧140mmHg≧90mmHg
家庭での高血圧基準≧135mmHg≧85mmHg

一般に家庭での測定値は、病院よりも低めになります。そのため基準値が5mmHg低く設定されています。実際当院では家庭血圧の平均値と病院での血圧は収縮期血圧で12.2mmHg、拡張期血圧で10.8mmHg高くなっておりこの5mmHgは少し過小評価されているように思います。

さて話はそれましたが、ではこちらの血圧を一度でも上回ると高血圧と診断されてしまうのでしょうか?それは違います。まれに病院で血圧を測定すると凄く高いからとすぐに病名をつけて薬を出されている方もいらっしゃいますが本来は慢性的に血圧が高い方が高血圧です。

では明確な定義があるのかというと決まっていて血圧測定を家庭で朝、晩、7日間行い平均を持って診断します。
家庭血圧で135/85mmHgのどちらかの基準を上回ったら高血圧と診断します。

ですので自宅での血圧測定が高血圧の治療のは勿論、診断にも大切です。

血圧が心配だな…と思った方は、お近くの循環器専門医を受診して相談しましょう。

正しい血圧の測定方法

そもそも血圧の測定方法を間違っている方もいます。それだと正しい血圧が把握できずそもそもこのお話が合致しないかもしれません。念のため血圧測定について簡単にご説明します。

起床後1時間以内に排尿を済ませて食前に測定を座ってから1~2分後に2回測定して平均値をとるようにと推奨されています。もう一回は夜就寝前に座ってから1~2分後に2回です。

さてここまでお読みくださりあなたは血圧の測定の仕方や高血圧の定義についてお分かりいただけたと思います。もし血圧の測定方法がバタバタとあわただしい時にしていたとか寝ながら測定していたなど全然違う場合はまずは正しい測定方法をしてからもう一度この続きをお読みください。

年代別の血圧の正常値

そもそも血圧を気にするのはなぜでしょうか?健康診断で正常高値はおろか高血圧の定義に当てはまる人ですら殆ど症状はありません。

今困っていないのに何故受診を促されるかというと、ご存じの通り将来、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる疾患にかかりやすくなってしまうからです。それがなぜ起こるかというと「血管」が傷んでしまった結果起こります。高血圧は血管を傷める理由の大きなところを占めるので血管が傷む前に予防をしようという理屈です。

では一番血管が傷む(動脈硬化)理由は何かご存じでしょうか?

「加齢」です。

加齢は私たちは止めることができません。つまり加齢すればするほど動脈硬化が進行します。動脈硬化が進むと血圧は上昇します。血圧が上昇すると動脈硬化が進行します。

このような悪循環ですが血圧はそのままにしていても良いのでしょうか?それは血圧が決まるメカニズムを知ることでご理解できると思います。

血圧はどのように決まるのか?

こちらをご覧ください。

血圧は心臓から血液が血管に送り出されたときに血管の壁で受け止めたときの圧力です。つまりこの絵をご覧下さればお分かりいただけるように動脈硬化が進んで血管が硬い右側の方が同じだけ心臓から血液が送り込まれても血圧が上昇します。

ですので年齢が上昇する事に収縮期血圧が上昇することがお分かりいただけると思います。実際厚生労働省が日本人の血圧の数値を公開していますが、下の図のように年齢が上がるにつれ収縮期血圧は上昇します。

より詳しくは拙著「高血圧、その治療で大丈夫ですか?」をお読みいただければ詳しくご説明しています。

 30代40代50代60代70歳以上
収縮期血圧117.9126.1132.9139.2142.8
拡張期血圧7479.48282.178.7
単位 mmHg

なお、拡張期血圧は年齢が上がるとむしろ低下する事が分かると思います。

こちらは下の血圧について詳しくお話をしているのでもしよければこちらの記事をお読みください。

結局どうするのがいいの?

さてここまでお読みくださりもうこれなら自分は別に少し高めだけど同世代のみんなと変わらないし病院にわざわざ行かなくても良いかと思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかしその結論は落とし穴かもしれません。というのもみんなで一緒に赤信号を渡っていたら大丈夫と思い渡っていたら車にひかれてしまう事もあるのと一緒で血圧が高いという事はやはり動脈硬化を進めてしまう原因になるからです。

それでは結局どうするのが良いのでしょうか?

実はこれはまだ答えが出ていません。というのも同じ血圧でも他の生活習慣の違いやはたまた遺伝子によっても動脈硬化進行は変わってくるからです。恐らくもう少し先の未来では遺伝子解析がより安価になりビッグデータ解析によってあなたが薬を飲むべきかが簡単にわかるようになると思います。しかし現時点ではデータとしてお示しできるものはこの数値しかないのです。

ではどのように個別で対応するのかというとあなた自身の血管をみることです。

あなたご自身の血管を診て同世代と比較してプラークが付着している量が多い、血管壁がデコボコしているなど動脈硬化が進行している、そういった場合はやはり治療をしっかりとやった方がよいでしょう。

まとめ

本日は高血圧の定義、血圧測定の正しいやり方、時間帯について確認をさせていただき、血圧が血管に与える影響についてご説明しました。

年齢が一番血圧に影響があることがお分かりいただけたと思います。しかしみんなと同じ血圧だからと盲目的に大丈夫と思うのではなくしっかりと循環器専門医の診察を受けて治療をする必要があるのかを判断してもらうことが大切です。

あなたが無駄に薬を飲まないように、けれど薬を嫌がり過ぎて心筋梗塞や脳梗塞にならないようにこういった判断基準を持っていただければ幸いです。

以上

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